舵取り
軍艦の艦長や大きな船の船長は、まず、舵を握りません。
当直に入る航海士も余程で無いと舵を握らない。
舵を握るのは、「操舵手」(そうだしゅ)と呼ばれる人となります。クォーター マスター quwater masterとも呼ばれます。
余程小さなボートでない限り、普通の船には、オートパイロットautopilotと呼ばれる装置があるので、舵そのものを握ることはありません。
出入港や狭い航路の時など特定の海域に操舵手が舵を握り、船首方位を一定に保つ作業を行ないます。
この時操舵手が勝手に舵を切る事はなくて、船長や航海士の指示に従って、舵を切ることになります。
この時、船長はポートやスターボードと号令詞をかけることになります。
ポートやスターボード以外にステディーsteady という号令詞もあります。
通常、ステディー90度といった様に用います。この意味は船首方位を90度に保て。という意味になります。
日本語では、「宜候 ようそろう」となります。
超大型船 マンモスタンカーでは、舵を切ってから10分以上経たないと、曲がってくれません。
数km 進んでからようやく曲がるので、非常に厄介です。
レーダーや双眼鏡で、他船を見つけるとすぐに回避動作に移らないと、衝突してしまいます。
ですから、大型船はなるべく船が多くいるところを避けて航行する事になります。
それでも回避する場合、急激にな回避は、無駄な燃料を使う事になるので、やんわりとかつ相手の船にわかる様に回避する事になります。
この時当直航海士は、レーダーや目視で状況を判断し、舵を握らず、オートパイロットの方位設定のボタンをピッピッと押して船首方位を数度変更します。
一定の針路を保つことは結構難しい事になります。下手な操舵手が舵を握ると船は蛇行する事になり、直進でない分無駄な燃料・お金を使う事になります。操舵手が舵を握るより、オートパイロットの方が無駄なお金を使いません。そもそも、現代の操舵手は別の仕事も結構あるので、船社はずっと舵を握らす様な無駄な事もさせません。船にとって船舶の整備や前方監視の方が重要です。
内航の小型の船では、乗っている人が少ないので、操舵手がおらず、船長も当直に入りますし、普通はオートパイロットですが、船舶が多い海域では船長自ら舵を握ったりします。
海上自衛隊や軍艦では、逆に人がたくさんいるので、オートパイロットを使わずに、航海員と呼ばれる職種の人が絶えず舵を握っています。