船のよもやま話

船舶に関わる話題

船の免許  免状

船を動かすためには、免許が必要です。

まず、船の大小から、小型船舶操縦士免許と海技士の2種類の船舶免許に分かれます。

小型船舶操縦士免許は、ボートやヨット、沿岸の漁船、釣り船などに必要な免許です。

海技士の免許は、小型船舶操縦士免許とは異なる免許です。大きなタンカーや貨物船、大型漁船を動かすための免許です。

海技士の中には、航海、機関、通信、電子通信の職務によって分かれています。

航海は、船の大きさや階級によって、1から6級に分かれており、1級免許を持つとどんな大きな船でも動かす事が出来ます。ただ、軍艦は免許不要で各国の軍隊が定めた規定によって決められていますので、1級免許を持っているからといって、空母を動かすことは出来ません。

機関は、エンジンの出力や階級によって異なります。これも1から6級に分かれていて、一番上が1級となります。

通常、1級海技士(航海)や3級海技士(機関)と言った書き方をします。

通信や電子通信は、通信で1から3級、電子通信で1から4級に分かれています。海技士(通信)は、通信士のための免許ですが、最近は通信士が乗る船は少なく、航海士が通信士を兼ねている場合が多く、そのために新たに電子通信の制度ができました。通信士は、トンツー・電信に特化した資格でした。しかし、衛星通信が発達による通信環境の激変があり、トンツーの時代も終わりました。一部漁船で活用されているみたいですが。その代わりにトンツーを必要としない・試験科目にない電子通信の制度ができたという事です。通信に関しては別途取り上げたいと思います。

階級は、船長、一等航海士、二等航海士、3等航海士、それに機関長、1等機関士、二等機関士、三等機関士に分かれます。

船の免許は、船の大きさ、階級によって、職務によって免許が異なっています。

 

昔、何故か海技士資格を免許とは言わずに「免状」と言っていました。これは「船舶職員法」という法律で海技免状と記載していたためです。

しかし、平成15年の法律改正によって、「船舶職員法」は「船舶職員及び小型船舶操縦者法」に変わり、その改正された法律では船舶免許という名称を使うことになりました。

個人的には、「免許」よりは言い慣れた「免状」の方がしっくりきます。

この船世界では、「免状持ち」とよく言います。免状持ちとは、3級海技士以上の資格を取得している人を指しています。4級海技士を持っていても、普通、免状持ちとは言いません。

昭和58年、この時にも船舶職員法の改正があり、1級から6級までに分かれたのですが、それ以前は、甲種船長、甲種一等航海士、甲種二等航海士、そして、乙種船長、乙種一等航海士、乙種二等航海士、さらに丙種航海士に分かれていました。今の3級海技士は、乙種船長、甲種二等航海士に当たります。1級海技士は甲種船長相当です。

この甲種の資格を持っている人を「免状持ち」と言っていました。

ちなみにこの甲乙丙の区分けは、遠洋、近海、沿岸の違いで、外国に行ける遠洋は甲種、近海を乙種、そして沿岸を丙種として扱っています。

 

あと、どうでも良い事ですが、1級海技士(航海)を持っていても、小型船舶操縦士免許を持っていなければボートやヨットなどの小さな船・ボートを操縦する事ができません。

また、1級小型船舶操縦士を持っているからと言って、小さな船といえども1等航海士や3等航海士になれません。でも、船長にはなれるのです。